帰り道、ちょっと泣きそう|ITプログラミングが強い人 IT01-26
ヒロキは、傘を持っていなかった。
空が少し曇っていて、でも雨は降っていなくて、どっちつかずの空の下を、ひとりで歩いていた。
専門学校からの帰り道。いつもの道なのに、今日はなんだか、すごく遠い。
今日の課題は、「簡単なプログラムを動かす」というものだった。
先生は「最初はみんなこんな感じです」と言っていた。
でも、ヒロキのパソコンだけ、動かなかった。
隣の席の男子は、もうふたつ先の課題まで進んでいた。右隣の子も、静かに、でも着実に、画面と向き合っていた。
ヒロキだけが、止まっていた。
「エラーって、どういう意味ですか」
先生に聞いたとき、声が少し震えた。
「エラーは、コンピュータが教えてくれているサインなんですよ」
そう言われたけれど、そのときのヒロキには、なにも入ってこなかった。
頭が「?」でいっぱいで、その「?」をどこにもぶつけられなくて、時間だけが過ぎていった。
信号待ちで、立ち止まる。
「向いてないのかな」
声に出したわけじゃなかった。ただ、そんな言葉が、頭のなかをゆっくり通り過ぎた。
逃げたい、と思った。
正直に言うと、ちょっとだけ、思った。
でも、どこに逃げるのかは、わからなかった。

ITプログラミングが「強い」って、どういう状態のこと?
スキルの高さじゃなく「問題を諦めない力」のことだった
ヒロキが立ち止まった信号が、青に変わった。
歩きながら、なんとなく考えた。
「強い人って、最初からできたのかな」
答えは、たぶん、ちがう。
プログラミングで「強い」とは、才能がある人のことではない。 エラーが出るたびに、「なぜ動かないのか」をもう少しだけ考えてみる人のことだ。
プログラムは、間違えて当然の世界だ。
- コードを書く
- 動かない
- 直す
- また動かない
- また直す
この繰り返しのなかに、力が積まれていく。
「できた」より「なぜできたのか」を考えられるようになったとき、人は静かに、強くなっていく。
「向いてる人」と「向いてない人」の本当の違い
「論理的思考力がある人が向いている」とよく言われる。
でも、それは後からついてくるものだ。
本当の違いは、たったひとつだけだ。
詰まったとき、もう一回やってみるか、やめるか。
プログラミングの挫折率は90%以上ともいわれている(参考:テックジム代表コメント)。 つまり、10人中9人が途中で立ち止まる。
残った1人が、強くなる。
最初から強い人なんて、ほぼいない。
「泣きそうな夜」が、実はITで一番伸びている瞬間だという事実

デバッグの時間がそのままスキルになる仕組み
ヒロキは帰り道ずっと、今日のエラー画面を思い出していた。
あの赤い文字。あの意味のわからない英語。あの、止まった時間。
でも、ここに、ひとつの逆説がある。
プログラミングの現場では「エラーを直した回数が、そのままスキルの深さになる」という感覚が共有されている。
エラーを見つける → 調べる → 試す → また失敗する → また調べる。
この流れは、ゲームの「ボス戦」に似ている。 何度も負けて、攻略法を覚えて、やっとクリアできる。 そのとき「わかった」という感動は、負けた回数に比例して大きくなる。
脳が、新しい回路を作っている時間だ。
泣きそうになるくらい悔しかった夜ほど、翌朝の「できた」が、大きく輝く。
ビル・ゲイツにも「ゴミ箱に潜った夜」があった
世界最大のソフトウェア会社・Microsoftを創ったビル・ゲイツは、高校時代、会社のゴミ収集箱のなかに入って、プログラムのソースコードを探していた(参考:ポール・アレン著作・関連伝記資料)。
カッコよくも、きれいでもない。
それでも、やめなかった。
Appleを創ったスティーブ・ジョブズは、自分が作った会社から追い出された。 それでも、戻ってきた。
ふたりに共通していたのは、以下の3つだ。
- 泣きそうな夜があった
- みっともない失敗があった
- それでも次の日、また始めた
悔しいと感じられること、それ自体が、才能の萌芽かもしれない。
本当に向いていない人は、悔しいとすら感じない。
ITプログラミングが「強い」人が共通して持っているたった1つの習慣
才能でなく「1日10分でも触り続けること」だけが差をつける
帰り道の途中で、ヒロキはふと、立ち止まった。
「明日も、行けばいいだけか」
小さな声で、誰に言うでもなく、そうつぶやいた。
毎日3時間、やる気のある日だけ勉強する人より、1日10分でも続ける人のほうが、半年後には大きく前に出る。
ITの求人倍率は、2024年12月時点で11.6倍(参考:レバテック「IT人材市場動向調査」2024年)。
全職種の平均倍率は1.25倍(参考:厚生労働省)。
この差をわかりやすく表にすると、次のとおりだ。
| 項目 | IT人材 | 全職種平均 |
|---|---|---|
| 求人倍率(2024年12月) | 11.6倍 | 1.25倍 |
| 2030年の不足予測 | 最大79万人 | ー |
| スキルの持続性 | 場所・年齢を問わず有効 | 職種により異なる |
(参考:レバテック調査、経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年)
コツコツ積み上げた人に、市場は扉を開けている。
「調べる力」が武器になる理由
プログラミングは、全部暗記する必要がない。
「わからない」と思ったとき、検索して、答えを探して、試してみる。
この流れそのものが、仕事のスキルになる。
学校の授業とITの仕事、違いを整理するとこうなる。
| 比較 | 学校の授業 | ITの仕事 |
|---|---|---|
| 答えの出どころ | 先生から受け取る | 自分で探す |
| 重視される力 | 暗記・再現 | 調べる・試す・直す |
| 正解の数 | 基本的にひとつ | 複数ある場合が多い |
「分からないを放置しない人」が、伸びる。
それだけが、強くなる人の共通習慣だ。
2030年に最大79万人不足するIT市場で、「強い人」が手にする未来

ITスキルは「業界を選ばない武器」になる
経済産業省の調査によると、2030年にはIT人材が最大79万人不足すると予測されている(参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年)。
ITスキルが求められる業界は、以下のように多岐にわたる。
- 医療(電子カルテ・診断AI)
- スポーツ(データ分析・フォーム解析)
- 飲食(自動注文システム・在庫管理)
- 音楽(配信プラットフォーム・著作権管理)
- 農業(スマート農業・ドローン制御)
エストニアという国を知っているだろうか。
人口は約130万人。大阪市よりも少ない小さな国だ。
その国が1990年代から全国民にITとプログラミング教育を普及させ、今では行政手続きの99%をオンライン化した世界最先端のデジタル国家になっている。
ITスキルは、個人を超えて、国家の競争力にもなる。
一度身につけたスキルは消えない。転職・副業・フリーランスと、選択肢がどんどん広がっていく。
「向いてるかどうか」を確かめる最も確実な方法
向いているかどうかは、やる前にはわからない。
やってみた後にしか、わからない。
帰り道に悔しくなれたなら、もうすでに、ITと向き合い始めている証拠だ。
ヒロキは信号を渡り終えて、少しだけ、顔を上げた。
泣かなかった。泣きそうだったけど、泣かなかった。
明日、また行けばいい。
それだけでよかった。
大阪ITプログラミング&会計専門学校天王寺校では、そういう「泣きそうな夜」を一緒に越えていく環境がある。最初からできる人なんていない。続けた人が、強くなる。